プロジェクター選びはさまざまなスペックを比較した上で、自分に合った製品を選ぶことが大切です。そんな比較項目の中で特に大切なのが「明るさ(ルーメン)」です。
プロジェクターの映りに直接影響するスペックなので、用途に合わせた明るさを選ぶ必要があります。そこでこの記事では、プロジェクターの明るさとは何か、ルーメンとANSIルーメンの違いなどを解説します。
プロジェクターの明るさは「ルーメン」で決まる
プロジェクターの明るさを決める要素は「ルーメン」と呼ばれる数値です。では、そもそもルーメンとは何でしょうか?ここではルーメンの基本を解説します。
ルーメンとは?
ルーメン(lumen)とは、もともとはLED照明における光源の明るさを示す単位として使われていました。実際、市販されているLED電球のパッケージにはルーメンが記載されていますね。

(Amazonより)
プロジェクターの多くは、光源としてLEDを使用しています。そのため、LED電球と同じようにルーメンという単位を使用して、明るさを表すのが一般的です。プロジェクターのルーメン値が高いほど光源が強いため、より鮮明な映像を楽しむことができます。
ただし、投影する環境によってはルーメンの違いを感じられなかったり、同じルーメンでもコントラスト比によって映像の違いを感じたり、ルーメンの高さだけでは製品の良し悪しを一概に判断できないのがプロジェクターです。
ルーメンとANSIルーメンの違いを知ろう
プロジェクターの明るさを表す一般的な単位はルーメンですが、中には「ANSIルーメン」と呼ばれる単位を用いている製品もあります。ここでは、ルーメンとANSIルーメンの違いを整理しましょう。
ルーメンの測定方法
一般的なルーメンの測定方法は、LED光源そのものの明るさを測定します。ルーメンの測定方法はメーカーによって異なるため、ルーメン値を比較しただけでは実際の投影画面の明るさを判断できないことに注意しましょう。
たとえば、Amazon等で販売している無名のプロジェクターの中には、「8,000〜10,000ルーメン」というかなり高いルーメン値をアピールしている製品があります。しかし、ルーメンの測定に決まりはないため、数値相当の明るさを提供していない可能性が高いのです。
したがって、「メーカーによって測定方法と算出される値」が異なることを理解しておくことが、自分に合ったプロジェクター選びの第一歩になります。
ANSIルーメンの測定方法
ANSIルーメンとは、アメリカ国家規格協会(ANSI)によって定められた光量測定の国際規格です。測定方法は、プロジェクターの投影画面を9分割した上で、区画ごとの中央部分の明るさを測定し、その平均値をANSIルーメンとして示しています。
ANSIルーメンの特徴は、数値としてはルーメンよりも低めに測定されることです。そのため、明るさが「200ANSIルーメン」と表記されている製品もありますが、必ずしも投影画面が暗いわけではありません。
また、ANSIルーメンは国際規格ではありますが、同じ数値の製品同士でも明るさに微妙な違いが出てしまいます。
したがって、プロジェクターを選ぶ上で大切なのは、表面上のルーメン・ASNSIルーメンを比較するだけでなく、製品の口コミ動画や実機をしっかりと確認した上で、実際の投影画面をチェックすることです。
プロジェクターの明るさを左右するその他の要素
プロジェクターの明るさを左右するのはルーメンだけではありません。その他の要素として、「投影方式」」「コントラスト比」「投影する場所」にも着目しておきましょう。
投影方式
プロジェクターの投影方式は3種類あります。それぞれの違いは以下のとおりです。
LCD |
プロジェクターから発する光を赤・青・緑の三原色に分解し、投影する方法。カラー表現が得意だがドットの格子が目立ち、コントラストは高くない。 |
DLP |
鏡面に光を反射させて投影する方法。LCDよりもドット格子が目立たずコントラストが高い。 |
LCOS |
コントラストが高く非常に高性能だが、構造が複雑なため本体サイズが大きくなる。 |
性能とコストのバランスが良いのはDLPです。多くのプロジェクターは投影方式としてDLPを採用していますが、稀にLCDを採用している製品もあるので注意してください。
コントラスト比
プロジェクターのコントラスト比(またはコントラスト)とは、投影した画面の「明暗の比率」を意味します。具体的には、投影画面の最も明るい(白い)部分と、最も暗い(黒い)部分が、どれくらい対比しているかを表す単位です。
たとえば、プロジェクターの公式サイトをチェックしてみると、「コントラスト比 500:1」といった表記を見かけることがあります。これは、投影画面の最も明るい部分が、最も暗い部分に対して500倍の明るさがあることを意味します。
このため、コントラスト比の高いプロジェクターほど投影画面の明暗がハッキリしていて、鮮明な映像を楽しむことが可能です。ルーメンが低めの製品でも、コントラスト比が高いと鮮明な映像を楽しめることがあります。
投影する場所
プロジェクターの明るさは投影する場所によっても大きく変わります。たとえば、同じように暗い部屋に投影する場合でも、昼間か夜間かによって部屋の明るさが若干変化します。
昼間に遮光カーテンを引いても光を100%シャットアウトするのは難しいため、夜間の投影に比べると、どうしても投影画面は薄くなります。ルーメンの高い製品なら比較的鮮明な映像になりますが、昼間の投影はルーメン値にかかわらず画面が薄くなるので注意しましょう。
また、夜間に投影するのがメインなら低めのルーメンでも十分な明るさを確保できます。「ルーメンの高い製品=より良い製品」ではないため、用途に応じて適切なスペックを備えた製品を選ぶことが大切です。
プロジェクターの明るさの目安
それでは最後に、プロジェクターの明るさの目安をご紹介します。
1000ルーメンの明るさ
夜間に投影するのがメインであれば、1000ルーメンでも十分な明るさを確保できます。たとえば、以下は1000ルーメンの性能を持つ「KABĒNI(カベーニ)」で投影したときの画像です。
※カベーニは同価格帯の製品の中でもコントラスト比が高いためメリハリのある映像を楽しめます
このように、1000ルーメンでも十分な明るさで映像を楽しめます。『1000ルーメンの明るさはどれくらい?モバイルプロジェクター選びの基礎知識』では、1000ルーメンのプロジェクターについてより詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
4000ルーメンの明るさ
4000ルーメンのプロジェクターは1000ルーメンの4倍の明るさがあるため、より鮮明な映像を楽しめます。以下は4000ルーメンの性能を持つ「KABĒNI PRO2(カベーニプロ2)」を昼間に投影したときの画像です。
昼間でもカーテンを閉めていれば、かなり明るい映像を楽しむことができます。夜間だけでなく昼間でも投影したい方は、ルーメン値の高い製品を選びましょう。
まとめ
この記事では、プロジェクターの明るさとは何か、ルーメンとANSIルーメンの違いなどを解説しました。
プロジェクターを選ぶときは、表面上のルーメン・ANSIルーメンだけで比較するのではなく、口コミ動画をチェックしたり、他の性能項目も比較したり、ルーメン・ANSIルーメンだけで決めないことが大切です。
以下の記事では、プロジェクター選びのポイントをわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。